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MMT(Modern Money Theory、現代貨幣理論)の真偽はコロナ禍の財政緩和で証明された

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  • 管理通貨制度における貨幣の本質について理解したい方

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  • 管理通貨制度における貨幣の本質が理解できる 

コロナ禍以前に議論されていたMMT理論の真偽

 コロナ禍以前に、よくTVなどでMMT理論の真偽が議論されていました。コロナ禍の各国の異次元の金融緩和は皮肉にもMMT理論の真偽を実験する結果になった気がします。

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お金の総量と制度

管理通貨制度とは?

 金本位制度の後に採用された貨幣管理制度。金の保有量とは無関係に法律で定められた通貨制度にもとづいて、中央銀行が貨幣の量を管理する。 管理通貨制度においては、国の信用(国債の発行量)によってお金の価値が決まる。自国通過を採用する各国が採用する制度。仕組み上、国債の買手がいる間は、貨幣はいくらでも増やせる。

金本位制度とは?

  各国の中央銀行が発行した紙幣と同額の金を保有し、いつでも金と貨幣を相互に交換することを保証する貨幣制度。 19世紀から20世紀の初めにかけて世界で取り入れられていたが、1929年の世界恐慌以降、相次いで廃止。この制度では、貨幣の総量は増やせない。

MMTとは?

 MMTとは「自国通貨を発行する政府は供給能力を上限に、貨幣供給をして需要を拡大することができる」とする理論である。このようにMMTは財政赤字の拡大を容認する。政府は財政赤字を気にせず景気対策に専念すべきだとMMTは主張する。自国通貨建ての債務であれば、政府の財政的な制約はないため、赤字が増えても財政は破綻しない。自前の通貨を持つ国がいくら自国通貨建てで国債を発行しても債務不履行(デフォルト)には陥らない。MMTによると、ある政府が自国通貨建ての国債を発行し、いくら借金しようと、いざとなればみずから新たにお金を発行して返せるので返済不能にはなり得ず、財政破綻することもない。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

賛成派意見

・実質的には国債本位制で、貨幣を発行しつづけている(⇨国債が増え続けている)にもかかわらず、インフレになっていない。

・日本が国債1000兆円を超えてもインフレにもなっていないことがMMTが正しいことの証明。

・現実が「経済学」を裏切っている。現実を経済学で説明できない。結果、ようやく登場した経済学がMMTというわけです。

https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12447066605.html

反対派意見

・もしMMTが事実なら、いま世界で1番お金持ちの国は(ハイパーインフレになった)ジンバブエだったはずだ。(ジムロジャース)

https://toyokeizai.net/articles/-/308301?page=2

・自国で貨幣を発行できた国がいくつもデフォルトしているのはMMTが偽であることを証明している。

・財政破綻はあり得ないというMMTは、震災前の私たちのように「今日と同じ明日が来る」という根拠のない確信を語っているだけなのではないだろうか。

https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=3202

・米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は議会証言で、この主張に関連して「自国通貨で借り入れができるからと言って債務(の規模)は関係ないというのは間違いだ」と発言。

https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2019/fis/kiuchi/0301

・正反対のものを同じ人々が支持しているという事実こそが、これらの政策のポイントは理論的な正しさや実際の効果ではなく、現在の人気取りに役に立つ、ということが共通点であり、それだけが長所なのである。

https://www.newsweekjapan.jp/obata/2019/07/mmt_2.php

コロナ禍でのMMT実験

 コロナで異次元の金融緩和を世界各国が実施した。自国通貨建てで国債を発行しても、インフレにはなったが債務不履行にはなっていない。自国通貨建て国債をいくら発行しても、債務不履行にはならない、というMMTの主張は正しいことが実際の実験で証明された。しかし、同時に、債務不履行にはならなくても、経済には大きな打撃(インフレ)になるシナリオがあることも証明された。

まとめと今後のアクション

 貨幣は数が増えれば、他の交換可能な資産(株、金、不動産、等)と比較して相対的に価値は下がる。自国通貨の各国が採用する管理通貨制度では、貨幣は年々増え続ける。よって、貨幣(現金)のまま後生大事に持っていると緩やかにその貨幣(現金)の価値が下がっていきます。自分の資産のアセットアロケーションで現金比率が高い方は、十分分散が効いた運用コストの低い米国インデックス投資(VTI /VOO等)をスタートすることを猛烈に推奨します。なぜならば、本記事の解説の通り、貨幣そのものは本質的に絶対的ではなく相対的な存在だからです。

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